昔ヒマラヤのふもとクマオンというところでうたわれていた物語。
岩だらけのごつごつした土地にふしぎなふえの音がひびき、美しい花園に
なっていく・・・。
インドの大地に咲く一輪のハスの花は、いつか地に落ちて枯れ草色の花
びらになり,やがて土に還っていく。それは自然の生命のめぐりが放つ一瞬
一瞬の美しいインドの輝きだ。花には花の、枯れ草には枯れ草の土には土
の美しい光がある。
ラマチャンドランの絵本は、まさにインドの光に満ちあふれている。インドの
風土に根ざした自然観、宇宙観から組み上げられた色と形と線が織りなす
独特の絵と、木島始による美しい言葉のひびきが、すばらしい絵本世界を奏
でている。